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【書籍】スティーヴン・キング著「書くことについて」読了。小説家を目指す人以外にもオススメ。

こんにちは。
Cul-into.comのmagiyamaです。

本日紹介する本はスティーヴン・キング著『書くことについて』です。

最近、何かと書くことが多いです。
例えば、普段の仕事であれば、メールや社内文書の作成など。
趣味の中だと、このブログの記事や小説の執筆などです。[no_toc]


昔は読書感想文や大学のレポート作成などはあまり好きではありませんでした。
しかし、最近ではこのブログしかり、書くことに関してはあまり苦にならず、むしろ楽しくなってきました。数年前からは小説を書いてみようとのんびり挑戦していますが、執筆に集中しているときは何とも言えぬ心地良さがあります。

SF作家スティーヴン・キングの『書くことについて』は、別の翻訳者によって『小説作法』というタイトルで出版されたことがあります。
※この本は2000年の発売から10周年を記念に発売されたスペシャルエディションを元に翻訳されています。

つまり、スティーヴン・キング流の小説作法が学べる本というわけです。

といっても、実際に読んでみると分かりますが、半分ほどはスティーヴン・キングの伝記に近く、小説家としての人生が描かれています。もちろん書くことに関しても的確なアドバイスがあります。即効性が高く、自分の執筆の反映できるものばかりです。

しかし、僕はどちらかと言えば、彼の生き様に感動してしまいました。読んだ後は、涙を流してしまったほどです。小説作法に関する本なのに、涙を流してしまうとは思ってもみませんでした。

本書は主に以下の章に分かれています(訳者あとがき参照)。

・履歴書
・道具箱
・書くことについて
・生きることについて
・閉じたドア、開いたドア

その中でも、心に残った箇所を3つほどシェアしたいと思います。

1.ドアを閉めて書き、ドアを開けて書き直す

本文を通して何度か出てくる執筆に対する向き合い方です。

執筆中は必ずドアを閉めるそうです。そうすることで、外のノイズをシャットダウンして集中でき、「これから書くぞ!」という仕事のスイッチにもなるようです。

また、初稿は特に必ずドアを閉めて書く。第三者には執筆中のものを公開しない。公開したくなるかもしれないが、我慢しなさいと言っています。

どうしても、第三者の意見によって影響を受け、安定して執筆できなくなる可能性があります。
我慢して自分ひとりですべて初稿を完成した後、それ以降にやっとドアを開け、外の人達を招き、意見があれば参考に書き直していくそうです。

スティーヴン・キングは奥さんの忌憚のない意見を信用しているそうです。
これは奥さんを定点観測者と言っている村上春樹氏とも似ていますね。

僕もこの考えには同意です。もともと僕は完成したものしか作品を公開したくない派ですので、そこまで苦はありませんが、作成途中の作品を公開したい気持ちになることがありますので、改めてそこはぐっと我慢しようと思いました。

2.小説はテレパシー

スティーヴン・キングの『テレパシー』という考えは比較的有名かなと思います。
僕も本を読む前に、村上龍著『限りなく透明に近いブルー』の解説で紹介されていたのを読んで知っていました。

スティーヴン・キングは小説を作者と読者のテレパシーに例えました。
SF作家らしい考え方ですね。とてもわかりやすい例えです。

これを通して伝えたいのは、いくら遠く離れていても、また時間がどれだけ経っても、小説を通して作者のテレパシー(文章を通して送られたメッセージやイメージ)を読者が受信できるという点。確かに『限りなく透明に近いブルー』のようになかなか周波数が合わずに受信に時間を要する場合もありますが、それでも一度受信できてしまえば、作者のイマジネーションを読者は共有できます。

まるで魔法ですね。面白い考え方です。

3.才能は練習の概念を変える

スティーヴン・キングはこのように言っています。

どんなことでも、自分に才能があるとわかると、ひとは指から血が出たり、目が飛び出しそうになるまで、それに没頭する

逆説的には、指から血が出たり、目が飛び出しそうになるまで没頭しなければ、それは才能がないのかもしれません。
ここで分かるには決して「才能=センスがある、上手」とは言っていないということです。多少は元々の能力が起因してくるかもしれませんが、「練習が楽しくて仕方がない、時間を忘れるまで練習し続けてしまう」ということこそ、才能があるということではないかと思います。

自分の中にそういったのものがあるのか?

自分のなかで才能に関して考えるきっかけになりました。
僕はマジック(手品)で似たような感覚になったことがあります。楽しくて仕方ない、一日中練習してても苦にならない。没頭しているときは本当に楽しかったです。忙しくなってしまったのか、最近そういった気持ちに自発的になれるものがあまりないような気がします。時間は限られているのでやっぱりやりたいことの断捨離は必要なのかもしれません。今一度考えてみたいと思いました。ちなみに、スティーヴンはお金が目的ではなく、楽しいから書くことを続けているそうです。楽しめることは何をするにしても大事ですよね・・・

上記3点以外にも読む人が「なるほど!」と思うところが沢山ありますので、ぜひ読んでみてください。モチベーションが上がります。

巻末のおまけページにある、スティーヴン・キングが好きな本リストも面白かったです。
ミステリーやホラー以外にもハリーポッターやトルストイの『戦争と平和』、モームの『月と六ペンス』などがありました。
偏りなく、幅広いジャンルを読まれているところに好感が持てます。

何を読もうか迷っている人は。そのリストをもとに自分の興味の幅を広げるのも悪くないですね。

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magiyama

1992年生まれ。名古屋・京都・東京を転々とし、現在はイギリスに拠点を移しブロガー兼フリーランス翻訳者として試行錯誤する毎日を送っている。ロンドンから生の音楽シーンやカルチャーを届ける他、一生モノのプロダクトを紹介。趣味はマジックとけん玉。

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