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【書籍】なぜ人々は消費することに疲れてしまったのか?書籍『物欲なき世界』レビュー

こんにちは。
Cul-into.comのmagiyamaです。

本日紹介する書籍は『物欲なき世界』です。


ここ1〜2年前から書店で『モノを持たない生活』『必要十分』『ミニマリスト』『禅』『マインドフルネス』などのワードが目につくようになりました。

マスメディアが流行を作っているように感じますが、やはり潜在的に物や情報が溢れかえった時代に疲れている消費者がいるのも事実だと思います。だから、その反動で物理的にも精神的にも無の状態にリセットするためなのか、『断捨離』や『瞑想』を行う人が出てきています。実際に僕も断捨離をすることがありますが、確かに心地良いと思いますし、こんな時代だからこそ、そういった方法が流行するのも頷けます。

では、『なぜ人々は消費することに疲れてしまったのか?』
『そして、消費に疲れた人々はどこに価値観を置き始めるのか?』

そういった疑問に論理的に答えてくれるのが今回紹介する本『物欲なき世界』です。

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この本を読んで僕が感じたこと

消費社会に息苦しさを感じている人や、心身すり減らしてまでお金を稼ぐことに疑問を持っている人には特に読んでもらいたいです。僕もこの本を読んで、この先の人生にで何をするべきなのか、朧げながら答えが見つかりそう気がしました。

僕が面白いなと思ってハイライトした箇所を少しだけ紹介したいと思います。

誰かから教えられたり、押し付けられたものでもなく、自分が選んだもので、自分だけの良い空間、良い生活があれば良いという考えが芽生えている。

この考えが普及し始めているのは間違いないかと思います。どちらかというと、僕もこちらに近い価値観です。

本書では戦後日本の高度経済成長の時代、バブル時代、そして現代と比較しながら消費に対する価値観の変化を分析しています。例えば、バブルの頃は何を買えば良いのか明白でした。その代表が自動車や家電、時計など。それが社会的地位の証であり、それを見せることで周囲が認めてくれる。そういった買い物リストを埋めていくために、若者は一生懸命にお金を稼いでいました。働いてお金を稼ぐことが幸福と直結していたようです。

一方、現代においては、若者の出世意欲の低下などに見られるように、お金を稼ぐことが幸福と必ずしも結びつきません。ストレスで体を崩したり、残業や休日返上で働いて大金を稼ぐよりも、そこそこのお金を稼いで余暇を楽しむことの方に幸せを感じています。お金の使い方も、ブランド物や高級品を購入し、派手な生活を送るラクジュアリー志向から、衣食住にこだわりを持ってより良いライフスタイルを求める方向にシフトしているそうです。

だから、雑誌やセレクトショップの傾向としても服だけでなく、衣食住の観点からライフスタイルをトータルで提案した方が消費者が受け入れやすい。そして、消費者も徐々に見た目よりもより品質やコンセプトを購入の決め手にしていく。確かにライフスタイル提案型の雑誌やショップが目につくようになりましたし、個人的にもそういった提案方法の方法がついつい心が惹かれます。

バイさんは自分たち二十代の世代は二極化していると捉えている。すべてに安全を求めて無難な道を選ぶタイプか、彼らのように自我が強くて起業したいタイプに。さらに後者は仕事に自分の存在意義を求めている世代だと。

本書では、消費自体に関することだけでなく、現在の若者の仕事観についても触れらています。
その章では、新卒9カ月目にしてユニクロを退社してオーガニック食品の販売店を始めたバイさんという方が登場します。

僕はそんなバイさんの言葉に感銘を受けました。

”儲かるだけじゃなくて、その会社がやっていることがお金以外の価値を生み出していると感じないと働いてくれないのが僕たちの世代。”

”自分たちの純粋な世界に閉じこもるか、世界に影響を与えたかったら、その枠から出て行って中途半端なことをやるしかない。”

確かに沢山お金を稼ぐことが好きな人もいるかもしれませんが、現代の若者はどちらかと言えば、仕事はお金を稼ぐだけの目的ではなく、それ以外の価値を見出して上で働きたいと考えている人が多いのかなと僕も思います。

バイさんはユニクロにそういった価値を見出すことができず、退職。そのあと、2年間、海外の旅や様々な試行錯誤を通して自分がしたいビジネスのコンセプトを見つける。その価値を広めたいと考え、自らオーガニック食品店を開きました。

会社が価値を与えてくれなければ、自ら価値を見出せるビジネスを始めればいい。

こういったことを言うと意識が高いと揶揄する人もいるかもしれませんが、今の現状に対してただ不満や愚痴を漏らしているだけの人よりも、理想に向かって自ら切り開いていける人の方が尊敬します。

最後に少し

本書は国内外の知識人や経営者の理論を紹介しながらテーマが進んでいくので、説得力が強く、読んでいて勉強にもなります。現代の社会に対して息苦しさを感じている方にとって、本社は様々な疑問に答えれくれるのでオススメです。是非読んでほしい1冊です。

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magiyama

1992年生まれ。名古屋・京都・東京を転々とし、現在はイギリスに拠点を移しブロガー兼フリーランス翻訳者として試行錯誤する毎日を送っている。ロンドンから生の音楽シーンやカルチャーを届ける他、一生モノのプロダクトを紹介。趣味はマジックとけん玉。

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