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旅行

『武相荘』を訪ねる。憧れのカントリージェントルマンが生きた場所。

2018/11/24

先日のお休みに白洲次郎の旧邸宅『武相荘』を訪問してきました。

皆さん、白洲次郎って知ってますか?

歴史の教科書であまり取り上げられていないので知らない人もいるかもしれません。白洲次郎は戦後アメリカ統治下の日本で「唯一の従順ならざる日本人」と言わしめた人です。憲法草案にも関わっていた重要な人物です。

さらに日本人で始めてジーンズを履いたことでも有名ですね。白Tにジーンズ(恐らくリーバイス501)という風貌に足を組んだ姿の写真が広く知られています。端正な容姿に身長は180cmという、もはやモデルです。

白州次郎

僕は彼の人生に書かれた書籍『風の男 白洲次郎』を読んで白洲次郎のことが好きになりました。僕の好きな歴史上の人物は杉原千畝とガンジーですが、白州次郎もマイベストにランクインしました。

今回僕が訪れた『武相荘』は、白洲夫婦が生涯を共にした邸宅です。ネーミングセンスに茶目っ気を感じますね。

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旧白洲邸『武相荘』を訪ねる

 


都内より電車で約1時間の『鶴川駅』が最寄り駅になります。勝手に“田舎”をイメージしていましたが、駅の周りにはショッピングセンターがあり、田舎と言うほど田舎ではありませんでした。少し歩くと、田んぼや畑ではなく、長閑な住宅街が広がります。

鶴川駅から約15分歩いて今回の目的地『武相荘』に到着しました。都会の忙しなさから離れてのんびり歩くというのも気持ちが良いです。

入口でチケットを購入します。入館料は1050円(税込)です。こちらの建物で白洲次郎に関連するお土産も販売しています。全て見終わった後のお楽しみで。

白洲次郎の愛車『ペイジ・グレンブルック』の前で

門の手前で、愛車『ペイジ・グレンブルック』がお出迎え。白洲次郎になったつもりで写真をパシャり。この愛車はNHKドラマ『白洲次郎』のためにアメリカから輸入され、撮影に使われたとのこと。車に関してはかなりのマニアで、イギリス留学中も「ベントレー」「ブカッティ」を乗り回し、周りからからOily Boyと呼ばれていたのだとか。

白洲邸 門の前で

白洲次郎が町田に武相荘を建てたのはちょうど第二次世界大戦前です。彼は誰よりも早く「アメリカには敵わない」と予見し、町田に疎開。戦争による食糧難を見越して自給自足の生活を始めました。この隠居生活を始めたのが41歳というのも驚きです。

また、彼は『カントリージェントルマン』を自称していました。イギリスでは「地方に住みながらも常に中央の政治に目を引からせ、いざという時には中央に出て彼らの姿勢を正す」、そんな人をカントリージェントルマンと呼ぶそうです。

「田舎に住んでまともな生活をしている人を田舎者とは言わない。都会の中で恥も外聞もなく振る舞う人種を田舎者という」

ー白洲 次郎

ということで、僕もカントリージェントルマンの制服だと勝手に思っている「バブアーのオイルドジャケット」「ブレディのバッグ」「ジョンストンズのマフラー」を身につけ、門の前でパシャり。

武相荘を巡る

館内は写真撮影できないとのことなので、外見だけ。情緒溢れる佇まいに、ひと昔前へタイムトリップしたかのよう。ミュージアム内は骨董品や白洲夫婦の思い出の品が展示されていました。白洲次郎が白洲正子に送った言葉が印象的でした。

「You are the fountain of my inspiration and the climax of my ideals(あなたはインスピレーションの泉であり、理想の頂点だ)」
ー白洲 次郎

彼の遺書も展示されていましたが、そこに書かれた言葉も彼らしいです。

「葬式無用、戒名無用」

ー白洲 次郎

展示はどうやらシーズンごとで変わるそう。この時は「冬」でした。

外の庭も緑豊かな竹林が広がり、遊歩道は気持ちの良い涼しさ。

レストランで白洲飯を楽しむ


実は、敷地内にはお洒落なレストランがあります。ランチだけでなく、カフェとしても利用できます。

今回僕が注文したのは、白洲次郎が愛した『海老カレー』です。


海老の風味が香ばしく、何杯でもペロリと平らげてしまう勢い。ご飯の上にはレーズンものっていて可愛らしいアクセントになっていますね。お値段は2300円と少々お高めですが、せっかくここまで来たなら是非食べたい一品ですね。

そして、レストラン内にも白洲次郎の肖像を発見。

厨房の方を眺めていますね

隣のバーにも

レストランのすぐ隣。高床の納屋を改装したバーにも、展示物がありました。こちらにも色々と面白いものがあります。

The Jeep Way

こちらが有名な「ジープ・ウェイ・レター」。GHQが出した憲法草案に対して、ホイットニー宛に彼が書いた手紙です。GHQ側が提示する案を「道」で表し、直線的、直接的でアメリカ的であったため、エアウェイ(航空路)と言いました。一方で日本側は回り道で、曲りくねり、狭い、日本的ということをジープ・ウェイと表現しました。

ホイットニーが「白洲さんの英語は大変立派な英語ですね」と言った際に「あなたももう少し勉強すれば立派な英語になりますよ」と皮肉を込めて答えたエピソードも有名ですね。

実はお土産売り場にも売っている『Play Fast Tシャツ』を発見。直訳で「早くプレイしろ」という意味ですね。白洲次郎はゴルフの趣味があり、軽井沢ゴルフ倶楽部の理事長でした。その時に「Play Fast」と背中に書かれたTシャツを作らせたそうです。どんなに地位が高い人に対しても、他の人の時間を奪うスロープレーヤーに対しては厳しく注意したようです。

ちなみに余談ですが、キムタクもこのTシャツを着ていました。

最後に

以上で今回の訪問記録は終わりです。

白洲次郎は頻繁に「プリシンプル(原理原則)」という言葉を発してたそうです。彼は常に自分のプリンスプルを貫き通し、ブレない生き方をしてきました。個人でも、企業でも、はたまた国家だとしても、彼の人生からこの「プリンシプルを貫き通す」のがいかに大切かを学びました。

日本人はプリシンプルを持つことが苦手な人種だと思います。そんな僕も自分のプリンシプルを見失いそうなときがありますが、常に自問自答しながら芯の通った生き方をしていきたいと思います。それさえ忘れなければ、環境が大きく変わったとしても自分らしく生きていけるのではないでしょうか。

伊勢谷友介主演のNHKスペシャルドラマ「白洲次郎」をまだ見たことないので、次はそれを見てみたいなと思います。

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magiyama

1992年生まれ。名古屋・京都・東京を転々とし、現在はイギリスに拠点を移しブロガー兼フリーランス翻訳者として試行錯誤する毎日を送っている。ロンドンから生の音楽シーンやカルチャーを届ける他、一生モノのプロダクトを紹介。趣味はマジックとけん玉。

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