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Culture コラム

技芸の道は長く、人生は短し

2023/04/04

技芸の道は長く、人生は短し

こちらは僕の好きな言葉。

この言葉を知ったのは、ゲーテ著『ファウスト』を読んだのがきっかけです。

その作品のある登場人物の口から発せられます。

その言葉を頭の中で何回か反芻してみると、意味が徐々に馴染んできて、なるほどなと感心しました。

技芸の道は確かに長い。
伝統ある芸能文化だと長いもので何千年の歴史がある。それに対して、人の人生は100年にも満たない。

調べてみたところ、もともとこの言葉を最初に発したのは、どうやら古代ギリシャの医者ヒポクラテスが最初のようです。おそらくファウストで引用されたものは同等のものだと思います。

原文は『 Ars longa, vita brevis』。
訳文は『芸術は長く、人生は短し』が一般的に浸透しているそうです。

ヒポクラテスがもともとこの言葉に込めた意味は「 医術を修めるには長い年月を要するが,人生は短いから勉学に励むべきである」ですが、 「芸術家の生命は短いが,芸術作品は作者の死後も永遠に残る」の意でも使われるらしいです(出典コトバンク)。

人が言葉から感じ取ることは様々なように、時代を経て教訓の意味は変わってきたのでしょう。

ちなみに「Arts」は「芸術、アート」のように日本語で訳されますが、「技術」といった意味もあります。

詩のように各人の好きな解釈で良いかと思いますが、『技芸を極めるのは長く時間のかかること。それに比べて人のは短い』と理解しています。

色々な趣味に手を出してきましたが、最近感じるのは「時間がいくらあっても足りないなということ。その道の達人になるなら、取捨選択が必要だなと。

自分でやってみるのも確かに楽しくて良いのですが、全部に手を出すと時間が足りなくなるので、鑑賞する側に徹する勇気も必要だなと時々思います。

これと決めたことをベースにして、それ以外から得た刺激や知識をうまく取り入れて本筋の分野で活かすのが最善な気がしますね。

本筋の部分がブレなければ、新しい刺激はプラスになるはず。

だけど、本筋を選択することは物凄く勇気がいることなんですよね。

なぜなら、数多くの可能性を捨てて、選択しなければいけないからです。

ここで問題なのが、その可能性を期待しながら選択しないで人生を送り続けると、可能性だけを残して何も成し遂げないまま人生を終えるかもという恐怖。

人生は思った以上に短いです。

それは当り前のことだという人もいると思いますが、一日いちにち目の前のことで精一杯になっていると感覚が麻痺してきますので、長期的に人生を俯瞰できる力が必要です。

そのためにも、早めに人生で極めたいことを見つけることは大事だと思います。

いろいろなことをかじって、結局どっちつかずの日々を最近過ごしていたので、この言葉を見てハッとしました。

ついつい新しいことに手を出してしまうクセを止めるためにこの言葉を座右の銘にしようと決めた今日この頃です。

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magiyama

1992年生まれ。名古屋・京都・東京を転々とし、現在はイギリスに拠点を移しブロガー兼フリーランス翻訳者として試行錯誤する毎日を送っている。ロンドンから生の音楽シーンやカルチャーを届ける他、一生モノのプロダクトを紹介。趣味はマジックとけん玉。

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