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読書

最近読んでおもしろかったKindle本(7冊)

普段は翻訳の仕事で英語ばかり眺めているので、たまに日本語の小説が読みたくなります。

そんなとき海外に住んでいると紙の和書は手に入れづらいのですが、Kindleであれば買ってすぐに読めるのでかなり助かっています。

昔に比べて大抵の本は電子書籍で読めるので、本当に便利な世の中になりました。

基本的にジャンル問わず気になるものを読んでいますが、特に面白かったものを紹介します。

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1.夢野久作『少女地獄』

夢野久作の作品は『ドグラ・マグラ』しか読んだことがなかったので、Kindle でいくつか読んでみることにしました。

この『少女地獄』は、夢野久作の短編集で3つの話が収録されています。

特に『何んでも無い』という話が面白かったです。姫草ユリ子という謎の少女を中心に物語は何事もなく進んでいくのですが、彼女の「虚言癖」によって物語は思わぬ展開に・・・

得体の知れない恐怖を感じながらも読後は何とも言えない切なさが残ります。

ちなみに、夢野久作の作品はほぼ青空文庫にあるので、Kindleで無料で読めます。

2.坂口安吾『桜の森の満開の下』

坂口安吾は堕落論しか読んだことがなかったのですが、今回小説を初めて読みました。

日本人は桜の花を見ると美しさを感じたり、春の訪れを感じたりするわけですが、大昔はそうではなかったということが昔話を通して淡々と語られます。

桜の花が咲くと人々は酒をぶらさげたり団子をたべて花の下を歩いて絶景だの春ランマンだのと浮かれて陽気になりますが、これは嘘ですーー

御伽話のような雰囲気ですが、後半は妙に生々しく背筋が凍るような描写があります。最後のカタルシスは美しく幻想的です。

こちらも青空文庫なのでKindleで無料で読めます。

3.ニック・ドルナソ『サブリナ』

グラフィックノベルという、漫画と小説の中間にあたるジャンルの『サブリナ』。

この作品を知ったきっかけはPop LifeというPodcastです。

均等なコマ割りと独特な絵に最初は抵抗を感じたものの、一度読むとその世界観に引き込まれて夢中になって読んでしまいました。

可愛らしい絵柄なのに、とにかく終始不穏な空気が漂っていて何かが起きそうな感じが常にします。

今の状況のように大きな事件が起きると陰謀論を語る人が必ず出てきます。

確かに「そういう考察もあるのか」と興味深いものがありますが、そういった情報を鵜呑みにする人が大勢出てくると、本来の事実がねじ曲げられてしまう怖さがあります。サブリナを読んで、そういったことを考えさせられました。

Kindle でも読めますが、僕はハードカバーの原書を本屋で見つけたので、そちらを購入しました。

4.中島らも『ガダラの豚』

中島らもの作品は昔から読もうと思いつつもなかなか読む機会がなかったのですが、今回初めて読んでみることにしました。

選んだ作品は『ガダラの豚』。雑誌の本特集などで紹介されているのをよく見かけます。

全3巻に分かれる長編なのですが、話のテンポが良いのでスイスイ読み進めることができます。3巻目なんて一度も休まずに一気に読んでしまいました。

何が面白いかというと、同じ小説なのに、各巻がまるで別の作品のようにガラリと展開が変わります。

特に3巻目は賛否両論が巻き起こりそうなトンデモ展開に発展します。もはや最後なんて「あれ、ジョジョ読んでたんだっけ?」となりました。そういった予想外の展開も含めて楽しめました。

手品、催眠、アフリカ、宗教など色んな要素が詰め込まれた最高に面白いエンタメ小説です。

5.ジョセフ・コンラッド『闇の奥』

イギリス人作家ジョセフ・コンラッドによって書かれた小説『闇の奥』。1902年に出版されたかなり古い小説です。僕はまだ見たことがありませんが、この本を基に『地獄の黙示録』というタイトルで映画化されました。

本屋の古典コーナーで英語版をジャケ買いしたのですが、かなり難解で読みづらかったので和訳版を読むことにしました(Kindle Unlimited にもあります)。

それでも難しいのですが、ストーリーの大枠は何とか把握できます。

クルツというアフリカで神のような存在として祭り上げられている西洋人が登場しますが、読みながら伊藤計劃の『虐殺器官』に出てくるジョン・ポールや、すでに紹介した『ガダラの豚』のバキリを思い浮かべました。

『闇の奥』を読むと、色んな作品からその影響を垣間見ることができて面白いです。

そういえば、アニメ『サイコパス』でも登場していたみたいです。

6.会計の世界史

会計資格の勉強を昨年の9月ごろから毎日続けているのですが、たまに違った角度から会計について学びたくなります。

そこで見つけたのがこの『会計の世界史』という本。

メディチ家、レオナルド・ダヴィンチ、鉄道、ビートルズなど、変わった切り口から会計の仕組みや歴史を分かりやすく学ぶことができます。

7.漱石日記

夏目漱石のイギリス留学に関する本を探していたら、この『漱石日記』を見つけました。

タイトル通り、漱石が当時書いていた日記をまとめたものですが、この中にロンドンに留学していた頃の日記も含まれています。

初めて海外で生活する漱石の反応や苦悶は、現代人でも共感できるところが多くて楽しめます。

海外あるあるだと思いますが、知らない人に「ニイハオ!」と声をかけられ、中国人と間違われたことにムッとすることがあると思います。

漱石も間違われることがあったようですが、その反応は違います。

心ある人は日本人と呼ばるるよりも支那人といわるるを名誉とすべきなり 。仮令然らざるにもせよ日本は今までどれほど支那の厄介になりしか 。少しは考えて見るがよかろう 。

漱石はむしろ、それを誇りに思うべきと言っています。なぜかというと、日本人は昔から中国人の世話になっているし「遥かに名誉ある国民」だからとのこと。彼の広い視野をぜひ見習いたいです。

あと、面白かったのはここ。

往来にて向うから脊の低き妙なきたなき奴が来たと思えば我姿の鏡にうつりしなり 。我々の黄なるは当地に来て始めてなるほどと合点するなり 。

向こうから背が低い変なやつが来たなと思ったら、鏡に映る自分だったとのこと。欧州人に紛れて暮らす漱石も、外見の違いに思うところがあったのかもしれません。

東ロンドンの強いコックニー訛りに対して「分らぬなり。ロンドンに来てこれが分かれば結構なり」と英語に関する漱石の奮闘も書かれているので、英語学習者にもオススメしたい本です。共感できるところがたくさんあります。

基本的に普通の日記なので「〇〇に行った。夜、下痢す」と書かれているところもあり、漱石もお腹痛くなることはあるし、我々と同じ人間なんだなぁと感慨深い気持ちになります。

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magiyama

magiyama

1992年生まれ。名古屋・京都・東京を転々とし、現在はイギリスに拠点を移しブロガー兼フリーランス翻訳者として試行錯誤する毎日を送っている。ロンドンから生の音楽シーンやカルチャーを届ける他、一生モノのプロダクトを紹介。趣味はマジックとけん玉。

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